納骨式のタイミング
遺骨をお墓などに埋葬することを意味する「納骨」。大切な人を失い、悲しみの中にあるご遺族様にとっては、気持ちを整理するための一つの区切りとなる大切な儀式が納骨式です。納棺後、お通夜、ご葬儀・告別式を執り行い、出棺、火葬が行われ、遺骨を骨壺に納める「骨上げ」そして納骨へと故人様をおくりだします。菩提寺などにすでにお墓がある場合、一般的には四十九日法要のタイミングで納骨式を行い、お墓に納骨します。お墓の準備が間に合わないなど、事情により四十九日法要に納骨できない方は、次の節目となる百箇日法要に納骨式を行うのが一般的です。
四十九日法要は故人様の魂の行き先がきまり、忌明けを迎えるタイミング
百箇日法要は故人様を失って泣くことに区切りをつけるタイミング
といわれています。四十九日法要、百箇日法要に限らず、一周忌法要には、親族、知人、友人など多くの人を招くことが多いため、納骨式を行うには適しています。また、喪明けとなるタイミングでもあるので、気持ちを整理して遺骨をお墓に納めるのに適しています。新しくお墓を建てる場合にも、一周忌であれば十分な時間があるため、慌てずに済むでしょう。また時間をかけて納骨先を選びたい場合には、三回忌のタイミングに納骨するのが良いタイミングです。
納骨師の仕事
近年映画「おくりびと」で注目された『納棺師』は故人様の身体を清め、着替えさせ、化粧を施し、棺に納める仕事です。『納骨師』とは納骨式に向けて墓誌への彫刻、納骨式でお墓への埋葬を承り、ご遺族様にとって、気持ちを整理するための一つの区切りの儀式をお手伝いするだけでなく、お墓のケアを通して、次第に薄らぐ「故人様と過ごした記憶」を確かめつながりを確認できる心の拠り所としてご遺族様を支えていくお墓をご遺族様と一緒にお守りしていきます。また近年になり増えてきている「墓じまい(改葬)」のお手伝いなども通して皆様と共に『感恩戴徳(かんおんたいとく)』の心を共有していきます。
墓誌彫刻
墓誌には「そのお墓に誰が埋葬されているかを記す」役割があります。墓石に戒名を彫刻する余裕がない場合や、隣の墓との距離が近すぎて彫刻しても読めない場合には墓誌を建てたほうがよいでしょう。古くは、日本では一代限りのお墓が多く、墓石に故人の戒名などを刻むだけでした。しかし明治時代以降、家族を同じお墓に埋葬することが多くなり、新たに文字を刻むスペースが少なくなっていきました。そこで、本来は戒名を墓石ではなく、墓誌に刻んでもよいというお寺が増えたという経緯があります。
お墓のケア
お墓のケアについて、寺院や霊園に管理費を支払いますが、お墓の管理を全て任せられるということではありません。お墓のケアは、あくまでご遺族様が行うべきものです。故人の命日、お盆、お彼岸などにお墓参りをし、お墓とその区画を掃除して墓前で手を合わせることは日本の良き慣習です。故人を偲び、ご先祖様を思うことで、自身の人生についても振り返ることができます。お墓のケアには草むしり、植木の剪定、区画内と墓石の掃除などがありますが、そのためにも定期的なお墓参りが欠かせません。しかしお墓が遠方でなかなか訪れることができない等の事情だけでなく、少子化や核家族化、都心部への人口集中といったさまざまな理由により、お墓の継承ができない事例が増えています。そういったお墓のケアの問題対応。耐用年数が30年~150年程度といわれる継承するお墓の経年劣化への対応も『納骨師』の役割です。
墓じまい・改葬
近年、お墓の大切さ、お墓参りやお墓を管理することの意義を考え直す人も多く、たとえば地方から東京に出て暮らしている人が、故郷の墓地・霊園から近くの墓地・霊園へとお墓を移す、いわゆる「墓じまい(改葬)」を行うケースも多く見られます。現代人はお墓と縁遠くなっていると思われがちですが、逆に若い世代にお墓を管理し、守ることに積極的な人たちが現れていることは特筆すべきことでしょう。「墓じまい(改葬)」のお手伝いも近年『納骨師』の重要な役割になっています。